NEWS

métro magazine KASUTORIを語る!

métroでは[métro magazine KASUTORI]という雑誌を発行しています。これは公演パンフレットとは別の感覚で作っているものなのですが、公演毎に発行しているので当然パンフレットと思われがちです。今回は[métro magazine KASUTORI]とは何なのか、何故こういったものを作るに至ったのか、その辺りのお話をさせていただきます。


★★métro magazine KASUTORI とは、公演パンフレットに近い、でも、それとは別のもの★★

「二輪草」以降チラシのビュアル写真を撮り続けてくださっている渞忠之さんに言われた言葉があります。



『紙モノにはこだわれ』

紙モノ、つまりチラシをはじめとする印刷物は、特にこだわって一流のものを作れ、というアドバイスです。
チラシには絶対的に自信がありました。しかし、演劇界においてもう一つ大切な「紙モノ」である「パンフレット」、そこはこだわるどころか熱意が湧かない。「二輪草」ではそれまで作っていたパンフレット制作を辞めていて、その理由は「パンフレットを作りたい気持ちがなくなった」というものでした。



『公演中の稽古着での写真、
キャストの意気込みやアンケート、
そんなことを伝えることには興味ない。
お客様へのご挨拶とかは、逆に買っていただかないと読めないのもなんか変。
それは当日皆様にお配りすれば良い。
パンフレット…興味ない。』

それが私の本心でした。
と、同時にこんなことも考えてました。



『私はmétroを単に演劇だけで終わらせたくない。お客様が何かを知る場所であって欲しくて、「その先」を感じる場所であって欲しい。』

例えば「二輪草」であれば、江戸川乱歩の小説「孤島の鬼」の一部でしかない本作品を観ることによって、原作を知らない人には小説を読んで「二輪草」の外側に広がる世界を知って欲しいし、すでに原作を知っている人には「小説の一部を全体にする面白さ」にも触れて欲しい。さらには「ゴールデン街劇場」の魅力も知って欲しい、という思い。
「衣衣」なら原作は勿論、「人形劇」や「Hajime Kinoko」の世界も知って欲しい、という思い。
「青鬼…」なら東京にありながらもあまり知られていない「代々木能楽堂」の魅力を知って欲しい…。

そうなってくると、「作品に付随した近辺のこと」を語りたくなるのです。見せたくなるのです。なので、公演と関連しつつも公演そのものではない記事やインタビューや写真が必要になり、それはパンフレットを超えた「読み物」になってしまうのです。



『パンフレットではなく、métroが発行する読み物なら作りたい!
よし、舞台と活字で、しかもその2つを連携させて「世界観」を提供しよう!』

これが「métro magazine KASUTORI」 の始まりでした。

★★métro magazine KASUTORI は、メンバーがやばい★★

なかなか語る機会がなくて残念ですが、KASUTORIの制作メンバー《編集=桑原茂夫/デザイン=東學/写真=渞忠之》はすごいメンツで、このメンバーで雑誌を作ってるとなれば、結構マニアから貴重な雑誌として注目されてもおかしくないと思ってます。数年経ったらもっと価値上がるぞ、とか思ったり。

それはまぁ、わからないにしても、例えそれぞれのお名前検索してみても、多分本当の凄さには辿り着かないですよ。ネットからわかる経歴みたいなもの以上の方々ばかり。事細かに此処に書くものなんか無粋でそんなことしませんけど、でもね、KASUTORIを観てくださったらわかります。

通からは、「よく、このメンバーを集められたね」と経緯をよく聞かれます。

カメラマン渞忠之氏は自称métro追っかけカメラマンなので、それはすんなりお願い出来ましたが、編集の桑原茂夫氏は大変でした。
métroの雑誌を作るとなれば、文学、演劇(宝塚、唐十郎なんでもござれの方)、日本のあらゆる文化に精通されていて、古くも知り、その上で新しいことに貪欲。そんな方でなくては編集長を託すわけにいきません。現代詩手帖の元編集長であり、今も尚あらゆる出版物を手がけていらっしゃる桑原さん無くして、métroの雑誌は考えられませんでした。桑原さんもmétroを好きでいてくださって全公演観てくださってます。しかし、、、今回の申し出には、なかなか首を縦には降ってくれませんでした。

「残りの人生で、やらなくちゃいけない事、やっておきたい事が山積みで…。さららちゃんの雑誌は本気で取り組まなくちゃならないからこそ、今の自分には出来ない。」と言った内容で断られました。
でも、そうは言っても、本当の理由はそれだけの事ではないと、私は勝手思っています。「私の本気度」「何を作りたいかが明白かどうか」私は試されているようにも思いました。それと同時にある思いも込み上げてきます。



『半端なものを作るくらいなら、雑誌も、ましてやパンフレットも作らない方が良い。桑原さんが編集長を請け負ってくださらない限りこの企画は止めよう。』

そんな気持ちで口説きにかかりました。

時間はかかりましたが、結果、桑原さんは根負けして参加を決意。面識のなかった東さんも、ダメ元で連絡してみたところOKを頂き、晴れてベストメンバーで雑誌を作る運びとなった訳です。


★★3号で潰れず、第5号を創刊★★

そもそも「KASUTORI 」は「カストリ酒」や「カストリ雑誌」が語源。「三合呑んだら酔い潰れる」という安酒カストリ酒のように、粗悪な用紙に印刷された安価なカストリ雑誌は、大抵が三号出したら廃刊。しかし、出版自由化を機に多く出版され戦後のサブカルチャーを牽引する存在だったそうな。

「KASUTORI 」は3号目で酔いが回って存続の危機にも直面しましたが、「えい!」と内容を見直し4号目で初の完売!初の黒字!
普通、演劇界のグッズは安く作って高く売り、その収益を公演の赤字に補填するというのに、本気で良いものを作ったが為に、「KASUTORI 」も公演同様赤字を作る悩みの種となっていたのは、今だから話せる打ち明け話。

今後、「KASUTORI 」に〈高級感〉を与えないままに、〈大衆的であり自由〉な、その存在をどうやって確固たるものに変化させて行くか、こちらのこれからのビジョンも楽しみでならない私です。

ちなみに「KASUTORI 」の良き点は「公演と合わせて読まなくても成立する読み物」と言うこと。つまり、公演についての雑誌ではなく、「公演から派生するあれこれ学」の雑誌なので「古くならない」こと。
バックナンバーを読んでも楽しめる作りにしています。

そして、今回より、「métro magazine KASUTORI」の予約販売を始めます。(2020/8/29 10時〜10/15 )
前回は公演中に完売になってしまい、公演期間の後半にいらした方や、遠くにお住まいでmétro SHOPにてご購入をご検討くださっていた方にお買い求めいただくことが出来ませんでした。また、今回は新型コロナウイルス対策で、ロビーの密集を出来るだけ避けたいこともあり、予約販売を企画しました。予約販売期間にお買い求めいただくと公演前にお届けできますので、予め読んでいただくことで一層公演も興味深くご覧いただけるかと思います♪

「KASUTORI 」も、métroの舞台とともに皆様に楽しみにしていただけるよう頑張って育てていきますね。今後の「KASUTORI 」を乞うご期待!